第1回・第2回はシナリオの書式について、ほんの一端です。
書き始めると、「回想シーン」ってよく出て来るけどどう書くの? とか、電話で話すシーンはどう書くの? とか、いろいろ出てきます。
実は、そうした細かな部分の書式は必ずしも統一されたものではありません。
たくさんのシナリオを読んでいると、作家によってずいぶん違うものだなとお感じになるでしょう。
なので、最初にお伝えしたように、まずは1冊指南本を読み、その書が教える書式を身に付け、その後は好きな脚本家や好きなドラマのシナリオ本をいくつか読んでみるといいでしょう。
旬なドラマのシナリオが掲載される月刊誌「ドラマ」(映人社刊)というのがありますが、バックナンバーも販売されています。過去に観たお気に入りのドラマがあれば、そのシナリオをまず読んでみて、「ああ、こういうシーンはこう書くのか」と会得するのが近道かも知れません。
余談ですが、前回の囲みの部分、シナリオを学び始めたばかりの方数人に、次のようなことを考えてもらいました。
・この日は堤の結婚記念日。
・妻はこのところ堤が残業続きなため機嫌が悪い。
・堤はそんな妻のため、帰社途中に花束を買っていた。
・登場人物にもう一人、職場の後輩、花岡麻衣(26)がいる。
という前提で、このあと、どうにか無事に堤が帰宅できるまでの会話を作ってみる。
すると皆さん、見事に堤が気持ちよく帰宅できるよう物語を作ってくれました。
麻衣が堤の足元の花束を見つけ部長に進言したり、この時とばかり働き方改革を訴えたり。
堤は架空の人物ですが、その何分間は、皆、堤を何とか奥さんの元へ、と必死に創意工夫をしました。創作の楽しさをみんなで共有した時間です。
(白石栄里子)