【ラジオドラマの書き方 第2回】 実際に書いてみて困ったこと

ラジオドラマの書き方 第1回」で質問をしてくれた彼が、実際にラジオドラマを書きました。できあがったものを読ませてもらいましたが、「案外、書けてるわね」(←当然、上から目線)というのが感想でした。もちろん、5か所ほど、ダメ出しをしましたが。
以下、彼が書いているときに困ったという点について、答えてみます。

Q「映像なら簡単な『無言で頷く』といった感情はどう表現できる?」
「…(小さく)うん…」とする方法と、「…(ゆっくり頷く)」「いいんだな、本当に」と、次のセリフで拾う方法があります。
音で表現できないからといって、諦めないでください。演じる役者さんは、書かれたものから演じるしかないのですから。
また、「(手を振りながら)違うちがう」や、「(手元のストローの袋をいじりながら)だって…」など、動作をセリフ内に入れても大丈夫。音にはならないかもしれませんが、役者さんが演じやすい。

Q「映像なら印象的に表現できる効果、これは諦めるしかないのか?」
どんな映像かにもよりますが、映像よりもインパクトが弱くなることがほとんどでしょう。例えば、銃撃シーン、乱闘シーン、キスシーン(笑)…などなど。むしろ、「秘すれば花」と心得て、殺人なら、殺人をあれこれ想像する残酷さや恐れ、恋愛なら、相手をいとおしく思いながら濡れた髪に心奪われる様子を描いた方が、ラジオドラマの本領が発揮されます。

Q「セリフのみで余韻を感じさせるには?」
そこまでに、いかに積み上げてきたか、です。これは、テレビドラマと同じ。しっかりとしたキャラクター造型が大切です。

Q「ラジオドラマに合っている物語とは?」
しいていえば、また、長さにもよりますが、登場人物があまり多くない物語です。
また、映像では費用がかさむ時代物や、海外を舞台にしたものも、ラジオなら問題なく制作できます。同様にCGの必要なファンタジーも得意です。
ただ、個人的には…寺山修司や別役実の世界が好きです。図書館のデータベースで「ラジオドラマ」と検索すれば、何冊かヒットするはずですし、毎年発行されるテレビドラマ代表作選集の中にもラジオドラマが入っています。ぜひ、探して読んでみてくださいね。

(伊佐治弥生)