第4回 シナリオを書いてみたい! と思ったアナタへ 【回想シーンってどう書くの?】

シナリオを学び始めてしばらくすると、テレビや映画で観るあのシーン、シナリオではどう書くの? という疑問が出てきます。

その一つに『回想シーン』があると思います。

回想シーンにはいくつかのパターンがありますが、大きくは2つ。

〇パターン1. サンドイッチ型回想 「ニュー・シネマ・パラダイス」「スタンド・バイ・ミー」など
   ① 作品の導入部が現在
   ② そこから人生のある時期を今の自分が振り返り
   ③ 最後は今の自分に戻って終わる

つまり、導入と最後の【現在】の間に、【過去】が回想として挟み込まれるパターン。
この場合、構成上は物語の大半を回想が占めているとも言えます。

映画好きに愛される名作「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年伊・仏合作 / ジュゼッペ・トルナトーレ監督)がこのパターンです。

主人公は冒頭の【現在】で、映画監督として活躍する中年男性として始まります。
そこへ今の自分を形作る上で大きな影響を与えてくれた恩人の訃報が入り、物語は主人公の幼少期、青年期へと大きな回想に入って行きます。
そして、最後にもう一度、その葬儀に参列する主人公に戻り→主人公は恩人から自分宛にと託された形見を受け取り→そこから感動的なクライマックスへと突き進みます。

〇パターン2. 進行しながら、それより前の出来事を回想
  こちらが、よく目にする回想シーンと言えるでしょう。
  単純な例でいえば、
  ・恋愛ものなどで、憧れの人から優しくされたことを回想し、すっかりその気になるとか。
  ・刑事もので、聞き込みをされた人物が「そういえばあの時……」などと目撃談を話し出す時とか。

次に、「回想シーン」の具体的書き方について。

実は、作者によってかなり違いがあるのですが、基本の書き方として一つのパターンをあげておきます。

一つ目の柱で、回想に入る人物が回想に入る助走=思いにふけったり、遠い目をしたり、何某らの気配を漂わせます。

次の柱で、その人物がどんなシーンを思い出しているか、回想の内容を書きます。
その時、柱には回想であることが一目でわかるように、

〇(回想)繁華街

と表記します。
※ 〇繁華街(回想)とする人も。

そして、回想が終わって現在に戻る時の書き方は、

〇元のアパート・涼子の部屋(夜)

というように、“元の~”としておきます。
回想は一つの柱のみとは限りません。
いくつかのシーンを回想することもありますので、その場合にもこうしておけば回想から戻ったことが明らかになります。

※ 〇(回想戻り)アパート・涼子の部屋(夜)
※ 〇アパート・涼子の部屋(回想戻り・夜)
とする人もいます。

囲みは単純な例ですが、本来、回想場面はより必然性を持って使用するよう心掛けたいものです。回想の多用は物語の推進力を奪うことにもなります。

スクールによっては、最初のうちは回想シーンを書かないよう指導するとも聞きます。

とはいえ、テレビや映画を観ていれば、しょっちゅう目にする回想シーン。
シナリオだって、楽しんで学んでいくのが一番。
自分なら、どんな回想シーンを書こうかな、とイメージしてみるのもいいでしょう。
次の第5回で、お題をあげてみます。

(白石栄里子)