おかげさまでワークショップ、無事大好評(たぶん)のうちに終了いたしました。ご参加の17名の皆様、本当にありがとうございました。
受講者の方々が用意してくださった3分間のラジオドラマを、役者さんたちに目の前で演じてもらう、というのが主な内容だったのですが、参加者の脚本をすべて演じるのは時間的にやはり難しいだろうという結論にいたり、脚本の優劣ではなく演じやすさ、演技で変わる幅が大きいものを基準として選考させていただくこととしました。
その選考の間は、トークでつなぐ。

第1部担当は不肖私伊佐治と、谷亜由子さん。谷さんは「振り返ると千人を越えている」という熟練のインタビュアー。私も脚本書きとライター業の二足のわらじをずっと続けてきたので、150人は越えてるかな。
「人は本当のことを話すわけではない」ということ、「作品を作るときに取材することを視野に入れて」「肩書がなくても、作品がマスコミにのるものでなくても、誠意があれば応じてくださる方はいる」「敷居が高ければ、身内で知り合いで」といった話をさせていただきました。
また、私が過去に長く係わった『中学生日記』というNHKの番組が、日記生(オーディションに合格した中学生)たちへのアンケートから始まり、私も同席して話を聞き、そこから番組を作るといった独特の作り方をしていた話や、谷さんからの「マスメディアのメディアとは」といった話をさせていただきました。
ちょっと舞台裏、朝の谷亜由子さん、「コビーのことが気がかりで、トークの内容も段取りも、なんにも考えてない」、答えて私、「大丈夫、私も何にも考えてないから!」。
つるつると40分話し続けられたのは、おそらく、お互いインタビュアーのキャリアが豊富で、相手の心情の方向性を常に読んで計算しているからかと。

トーク第2部では元東海ラジオディレクターの角田功治氏をお迎えし、芳賀倫子支部長との対談を行いました。
二人は2008年東海ラジオ放送のラジオドラマ『渾身のストライク 「名古屋軍」名投手・石丸進一』にて角田氏が制作/演出/選曲を、芳賀支部長が脚本を担当したご縁があり、当時の思い出話に花を咲かせました。また、角田氏は当時社内唯一のラジオドラマ担当であったため、音入れ、選曲もご自身で担い、棚一面にあったおびただしいCDの中から、ドラマに合う効果音や曲を探し出すのに大変ご苦労された話などを伺いました。
そのあと、受講者には少し早めのお昼休みをとっていただいたのですが。

トーク第2部開始直後から裏方は大忙し。1階カフェでは役者さんたちとの打ち合わせ。9階受付の2台のコピー機を占領してコピーしつつ、ソファの半分を占領してホチキス止め。
無事、参加者分のコピーを終えて午後の部を迎えました。
役者さんたちには先行してコピーした脚本をお渡ししていたものの、ほぼ素読みの1回目、演出の指示を受けての2回目、見事に変わる様を見ていただくことができました。

これはひとえに、演出の大嶽隆司さんと、役者の伊沢勉さん、小島範子さん、松本広子さん、平野萩さんの技量のおかげ。
9作品を演じていただき、時間の余裕がありそうだったので、さらに3作品。
勉さんの、よっぱらい親父役と、お婆さん役が絶品!
そして、脚本のなかで気づいた初歩的な誤認やト書きの書き方の話を伊佐治と芳賀支部長からさせていただいて、予定時間通り終了となりました。
お帰りになる参加者の皆さん、ご満足していただけた様子で安堵しました。
「ホームページをもっと多くの人に見てもらいたいね」「なんかイベントをしたらどうだろう」「教室で、プロに脚本を読んでもらったら好評だった」「じゃ、それ、やる?」なんてノリで始まった、今回のワークショップ。
客観的に見れば、ものすごく、いいところを突いていた試みだったと思います。そして、無事実現できたのは、連盟員間の風通しのよさゆえだろうし、綱渡りのような1日のスケジュールをこなせたのも、チームプレーゆえでした。みんな、まともに昼食をとれなかったけど。
どうか、参加者の皆さん、それぞれに何か得ることがあり、今後の創作に生かしていただけますように。
(伊佐治弥生)
