昨年11月のワークショップに参加して印象に残ったことが3つあります。
まずは、参加していただいた方の創作者としての真摯な想いです。
残念ながら今回どうしても時間の関係もあり、作品すべてを役者さんに読んでもらうことは出来ませんでした。
裏方として、すべての作品を読ませていただいて感じたことは、原稿用紙3枚という短い枠の中で、少しでも面白くなるよう、セリフが聞き手に伝わるよう、斬新なアイデアを試してみようなど、書かれた作品から参加者のみなさんの熱意がひしひしと伝わってきました。
3枚のシナリオのセリフ一字一字、細部まで非常にこだわって書かれているなと感じるような方もいて、創作への向き合い方に頭が下がりました。
参加者のみなさんが真剣な気持ちで、ワークショップに参加していただいていることを実感できて大変嬉しかったです。
二つ目は、個人的にとても印象深かったことなのですが、演出家と脚本家の視点の違いでした。
演出家の大嶽隆司さんの目の付けどころが、シナリオライターと違うということを実感しました。
作家は、いかに作品の内容を面白くするかを一番に考えるものだと思いますが、今回、大嶽さんとご一緒させていただき、非常に感じたのは、演出家は作品の内容よりも、演者のやり取りをいかに面白く効果的に観客に響かせるかを一番に考えて作品を見ているという点でした。
演出家なのだから当然だろうという声が聞こえてきそうですが、シナリオの執筆作業のみしていると、この当たり前のことを忘れがちです。
シナリオはあくまで未完成品なのです。
今回すべての作品が演出指導前後で、言葉の伝わり方、面白さや話の奥ゆきなど、大きく変わったことを感じられたと思います。作品は演出を通すことで、大きく変わります。
3つ目は、役者さんたちの力。
軽く下読みしただけで、きちんと表現して演じられるのは、さすがはプロだ!と思いましたが、それ以上に大嶽さんの演出指導後、すぐに言われた方向に修正して、指示されるようにばっちりと演じきれる役者さんの姿に、非常に感動しました。
役者さんの頭の中には何パターンも事前にキャラクターの引き出しがあるのだと思いますが、方向さえ示してもらえれば、すぐに演じられる演技力は、本当に素晴らしかったです。
舞台、オーディオ、映像作品を料理に例えるならば、シナリオという素材に、演出という調味料が加わり、役者さんがその材料を美味しく調理してはじめて、素晴らしい料理が完成します。
一人で作品を書いていると、シナリオが完成品だと思ってしまうことがあります。
当たり前のことですが、シナリオはあくまでも作品の中の素材であり、そこに監督や演出家、役者、その他さまざまな人たちが携わり、一つの作品になります。
一人で描く小説とは違い、シナリオに沢山の方が係わることで、作品はもっともっと深みを増して、より面白くなります。
今回そのことを改めて気づかせてくれた素晴らしいワークショップになったと思います。
今書いているシナリオがちっとも面白くならないと悩んでいるそこのあなた、大丈夫!
作品になれば、周りがもっともっと面白くしてくれるので、安心して今書いているシナリオを書き上げちゃいましょう。
