「ラジオドラマって、どうやって書くの?」という質問を、映像のシナリオを勉強している知人からもらいました。
以下、彼の質問に具体的に答えてみます。
Q「映像シナリオとどう違うの?」
シナリオを書くときに、皆さんの目の前には映像が浮かび、登場人物たちの声が聞こえているはずです(そうでないと困ります)。それを、そのまま文字に移すのが、映像シナリオで、文字に移せない部分を、音と、セリフに変換する必要があるのが、ラジオドラマの脚本です。
Q「ラジオドラマならではの勘所とは?」
勘所なんて、いまだにわかりませんが、ラジオドラマ化しにくいものならわかります。
例えば、ラブロマンス。映像がない=顔がない、ということで、登場人物がかっこいいのか、そうでもないのか、美人なのか平凡なのかがわからない、ばかりか、例えば、「すごい美人」だとセリフで入れたとしても、「美人感」が持続しません。キスシーンにしても、音で想像してみてください、最悪です…。
また、同年代の同性複数人が主要なキャラクターであるものも難しい。声の聞き分けがしにくいからです。2人なら大丈夫ですが、3人以上は、誰かの話し方にクセがないと難しい。
Q「ト書きはどう入れるの?」
基本的には音で伝わるものになります。でも、「台所にて」とか「人の少ない喫茶店」とか「往来の多い路上」であれば、音響効果のスタッフがそんな雰囲気の音を作ってくれます。「泣きたくなるほど赤い夕陽」は作れませんが、「日曜日の朝ののどかな雰囲気」は、作ってもらえます。シーンの場所を明確にするとともに、どんな雰囲気かも入れると伝わりやすくなります。
Q「セリフも映像に頼れない分、映像が浮かぶ工夫がより必要になる?」
これは気にしない方がいいと思います。映像は聴く人、一人ひとりに自由に思い浮かべてもらえばいいのです。その点、テレビドラマよりも小説に近い。
でも、どうしても必要な映像もあります。その場合、ラジオドラマには「モノローグ」という手法があるので、説明的にならないよう、そのためには話者の心情も添えて、セリフを展開させるといいでしょう。
(伊佐治弥生)